「ラパン(2代目)」&「キューブ(3代目)」のデザイン採点と販売台数予想
written on 2008/12/6
1999年頃から始まった「癒し」ブームに乗り、角を丸めた四角形という温かみのあるデザインで人気を得た「ラパン」と「キューブ」が、揃って新型に切り替わりました。
先代がヒットモデルだったせいもあり、どちらも見事なキープコンセプトで登場した訳ですが、ワゴンR、ムラーノ、オデッセイなどを見ても分かる通り、最近は変化よりも正常な進化を目指すケースが目立っているようです。
長い間、日本では「新しいのはいいことだ」っていう考えが主流で、世界でも類を見ないほど、短期間且つ大幅な変化のモデルチェンジを競っていたんだけれど、メーカーもユーザーも疲れちゃったのでしょう。
「変化」という言葉だって、世の中を良くするよりも悪くしていくものっていうイメージになってきている気がするし、一か八かの勝負に出る革新性よりも、いつもと変わらぬ安心感の方を求めたくなる気持ちも分かります。こうした保守的なモデルチェンジが増えているのは当然のことなのかもしれません。
ま、実際のところは、ワゴンR以外、先代がインパクトの強いデザインの車ばかりだから、今回は小変更に留まったっていうだけなんでしょうけどね。
兎にも角にも先代のイメージを強く残したこの2台、丸い四角という基本デザインのみならず、「うさぎ」に「ブルドッグ」と、共に動物がデザインモチーフになっていたり、内外装に「うさぎ」と「波紋」をやり過ぎなくらい反復使用していたりと、デザインの方向性が、まるで親子のようにそっくり! なるほど、日産版「ラパン」とスズキ版「キューブ」の登場が噂されるのも無理のない話です。
だけれども、僕がそれ以上に興味を惹かれるのは、どちらも、元々の特徴であった、なめらかさや丸みを、更に加速させていること。
今の自動車デザインは、硬質感を表現する張りのあるボディに、エッジの立ったシャープなキャラクターラインを引くのが主流だけど、「ラパン」と「キューブ」にソリッド感は全くなく、実に柔らかそうで、まろやかなデザインになっているのです。
この期間、トヨタはセラやセレス、マリノを送り出し、クラウンまでもがぽっちゃりと太り、日産はブルーバード、レパードJフェリーで丸い垂れ尻に挑戦、マツダはユーノス500やランティスセダンという美しい曲線美を持った車を開発、といったように、猫も杓子も丸いデザインを目指していたのです。
中でも、トーラスの強烈さは他を圧倒するもので、これ以上丸さに進むのはヤバイぞと世の中を目覚めさせ、丸ブームを終結させる気味悪さを放っていました。
その後、有機的な不気味デザインのトーラスとは正反対の、幾何学的なクールさを持つアウディTTが1998年に登場。それ以降は、無機的なデザインをベースに、徐々にシャープさとスポーティーさを増してきている、というのが大きな流れだと思います。
しかし、新型「ラパン」「キューブ」の登場により、再び丸さへの挑戦が復活! これからは、エッジを無くした「まろやかデザイン」がブームになるに違いありません!
ってのは、ちょっと言い過ぎだけど、そろそろ次の流れが生まれてもおかしくない頃。
無機的なデザインも新鮮味を失ってきたことだし、エッジを排除したデザインの車が増えていく可能性がないとはいえません。ましてや、世界中どこを見ても先行き不明の不景気だし、車のハイパワー競争も時代に合わなくなってきているのです。
これから必要なのは、世の中を少しでも明るく和やかにして、ゆったり気分で運転する気になれる、丸いデザインの車なんじゃないでしょうかね!
・・・ただし、同じ丸でも、トーラスみたいな有機的な丸はもう結構。INFOBAR2や前回の東京モーターショーに出ていたホンダのPUYOのように、陶器とか木製の幼児用玩具をイメージさせる、優しい、まろやかな丸がいいですね。
という訳で、そんなアホな空想の広がる2台のかっこいい度は、「ラパン」が85点、「キューブ」が72点! 「キューブ」は有機的な丸に踏み込みかけていますが、気持ち悪さ寸前のギリギリセーフって印象です。
新型なんだから変えなきゃいけないけど大きくは変えられないジレンマから、細かい部分への遊びに終始しちゃった感はあるけれど、先代との比較は抜きにして、どちらも悪くないデザインだと思いますよ。
さてさて、最後に販売台数予想ですが、メーカーの月販目標は「ラパン」4,000台、「キューブ」4,200台と、ほぼ同じ。とはいえ、軽へのシフトが著しい現状を踏まえて、僕の予想は「ラパン」が月6,500台、「キューブ」が月4,500台としておきます。
両車とも男性ユーザーをどれだけ取り込めるかがポイントでしょうね。
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