「プリウス(2代目)」のデザイン採点と販売台数予想

written on 2003/9/3


1997年、世界に先駆けて登場した量産ハイブリッドカー「プリウス」。結局、その後もさしたるライバルは登場しないまま、独走状態で2代目にバトンタッチとなりました。

初代「プリウス」は、背高ビッグキャビンという、当時としては革新的なパッケージングで登場しましたが、新型もワンモーションの5ドアという独特のスタイルを採用。前例を考えると、日本ではとても成功しそうにはありませんが、初代同様、ハイブリッドのイメージがプラスに働いて、新しいパッケージングとして定着する可能性は充分にあります。アテンザと共に、5ドアの人気アップに貢献するかもしれませんね。




で、そのデザインを一言で表現するならば、「インサイトの5ドア版」!

薄型のグリルや、のっぺりとしたフロントマスク、なだらかに傾斜するハッチゲート、切り落としたリアパネルに設けたガラス窓など、どう見ても初代「プリウス」よりもインサイトに近いデザインです。

もっとも、いくらパクリ好きのトヨタでも、販売台数で「プリウス」の足元にも及ばないインサイトを真似たなんてことはあり得ません。さすがにリアタイヤを覆うパネル(リアホイールスカート)までは付けませんでしたが、今回は、空力を追求した結果、インサイトに似てしまったと見るのが正解でしょう。(屋根の微妙な膨らみなどからも、空力をかなり意識していることが推測できます。)



それにしても、惜しいのはホンダです。

トヨタが後追いするくらいだから、空力追求のパッケージとして、インサイトの方向性は間違っていなかったはず。それなのに、ホンダらしいスポーティーさの表現と、究極の省燃費達成の反則技として、2シーターにしてしまったのが、「プリウス」に敵わなかった最大の敗因なのです(多分)!

もしも、インサイトが、4人乗りを実現していたら、つまり、新型「プリウス」のようなスタイルで登場していたらと思うと、残念でなりません。RX-8が4ドアのスポーツカーとして人気を得ているように、多少燃費が落ちたって、CR-Xの4ドア版として歓迎されたかもしれないのです!(・・・な訳ないか。)

そう考えると、ホンダが省燃費を追求するあまり、かっこよさや実用性を犠牲にしてまで教科書通りにデザインしてしまった空力ボディを、乗用車として、そつなくまとめたトヨタは大したもの。

普段はトヨタに厳しい僕ですが、「プリウス」に関してはトヨタの底力を見た気がします。




さて、そんな「プリウス」ですが、かっこよさはどうなのかと言えば、これが結構いいんじゃないでしょうか。

空力性能向上を目指すと、ボディのフラッシュサーフェース化は避けられず、のっぺりと特徴の薄いデザインになりがちですが、ボディサイド下部のくぼみや、ウィンドウ周辺のブラックアウト化、サイドまで回り込むリアランプ等で、巧みに単調さを回避しています。

おもちゃっぽくて好きではないキラキラしたリアランプも、派手さを抑え、何とか許容範囲に収まっています。(ハイブリッドという電気的なイメージとマッチするのも、嫌悪感を減少させる要因でしょう。)

初代「プリウス」や、アルデオ、オーパなどは、新しいパッケージをデザインしきれていない荒っぽさがありましたが、今度の「プリウス」は、初代エスティマやヴィッツ、初代ハリアーなどのように、新しいけれども充分に完成された美しさを持っていると言ってもいいでしょう。

何よりも、トヨタが得意とする下品さがなく、大人にも乗れる、クリーンで知性的なデザインになっているのが好印象です。そして、こうしたクリーンさは、「プリウス」に乗ることが富裕層のステータスシンボルになっているアメリカでも、好意的に受け入れられるんじゃないかと思います。




ってことで、「プリウス」のかっこいい度は82点

一般的なトヨタファンには、殺風景すぎるように感じるかもしれませんが、僕は、ゴテゴテした装飾に頼らないデザインの方が好みなのです。

な、訳で、トヨタ車としては過去最高の得点を与えましょう!

・・・トヨタって、つまらないデザインを連発しているかと思うと、時折、(特に海外市場に主眼を置いたモデルで)こうした上品なデザインを出すから不思議ですね。



さてさて、販売台数予想ですが、トヨタの販売目標は月5,000台と、かなりの強気。ここ2年間の先代が月600台弱、セダンとしては売れているプレミオだって月5,000台未満ということを考えると、無茶といってもいい数字です。

僕は月3,000台売れれば上出来だと思うのですが、予想台数が低すぎるという今までの反省に立って、一気に5割アップ! 月4,500台と致しましょう。

しかし、トヨタがこんな目標台数を掲げたのは、もはやハイブリッドカーは実験の段階を終え、ガソリン車に取って代わる存在になったとの自信の表れ。いよいよ、ハイブッリドカー本格普及の時代が訪れるのかもしれませんね。

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