「ミラ ジーノ(2代目)」のデザイン採点と販売台数予想
written on 2005/1/9
トヨタと言えば、ニッチというニッチを埋める強烈な多品種攻撃と、他社の後追い・パクリが特徴ですが、グループ会社のダイハツも、いよいよ本格的なトヨタ体質になってきました。
ワゴンRに標準・カスタム・ラテのムーヴ3連星で襲い掛かるのと同様に、今度は、アルト(&ラパン)撃沈のために、標準・アヴィに続き、新型「ミラ ジーノ」を投入。自社内での潰し合いは覚悟の上で、ここまで多種の車を送り出すなんて、まさにトヨタのやり方です。
おまけに、「ジーノ」に至っては、誰がどう見たって「MINI」のパクリ。ダイハツは先代「ジーノ」の時から「ミニ」ではなく「コンパーノ」がモチーフですと言い張ってはいるけれど、「それなら、わざわざミニライトホイールを履かせてグレード名にまでしているのは何のつもりなんだい?」なんて突っ込みすら必要ないくらい、そりゃ無理な言い訳ってもんです。こうした、「売れりゃ何でもOK」的な開き直りも、トヨタ以外の何者でもありません!
トヨタもダイハツも、こんな企業姿勢を疑われるようなことをしなくたって充分やっていけるはずなのに、何で敢えて車好きの反感を買うようなことをするんだか、僕は理解に苦しむのでありました。
と言うわけで、新型「ジーノ」、当然、印象がいいはずはないのですが、実は先代の「ジーノ」は、割と認めていました。もちろん、先代だって所詮はミニのパクリだったんだけど、僕は洒落としてギリギリOKを出してたのです。
何故って、例え最初から「ジーノ」を意識して作っていたとはしても、一応、ミラの前後を飾り立てたドレスアップカーの範囲だったし、見苦しいデザインの多いレトロ軽の中にあって、ミニのパクリカーとしてベストと言えるデザインに仕上がっていたからです。
そりゃあ、「ジーノ」を作るメーカーにも、それを買うユーザーにもポリシーなんてものはありません。だけど、現在の交通事情に対応しきれなくなっていた先代ミニの代わりとして雰囲気を楽しむ分には、納得のいく仕上がりだったし、パクリカーと承知した上で敢えて「ジーノ」に乗るのは、洒落として何とか許される範囲だとも思っていたのです。
ところが、新型「ジーノ」は、ミラとは外板パネルを共用しない専用ボディになってしまいました。いくら何でも、ここまでやっちゃったら、メーカーの姿勢として洒落の範囲を超えています!
その上、今度の「ジーノ」は最新の現行MINIがモチーフです。これじゃあ、「本物は毎日乗るのには辛いから」なんて大義名分も通用しません!
しかもです、さらに困ったことに、新型「ジーノ」、はっきり言って、背が高すぎて「かっこ悪い」んですよねぇ。
軽自動車でさえ、全高が1,500mmを切る車がツインとコペンしかない現在では信じられませんが、先代ミニの全高って、1,330mmしかないのです。さすがにそこまでは低く出来ませんでしたが、現行MINIだって、背の低さをミニの特徴だと考えて、全高を1,400mm台に抑えています。(まぁ、MINIに限らず、欧州コンパクトで1,500mm以上の車なんて殆どないんだけど、全長・全幅・全高の内、先代比で一番拡大率が少ないのが全高なんですよね。)
それに対して「ジーノ」の全高は1,515mm。ミラとプラットフォームを共用する関係上こうなっちゃうんだろうけど、仮にもミニに似せたいのなら、軽の車幅に、この全高はあり得ません! この縦横比率はミニらしさの限界を完全に超えていて、危うくミニのミニバンになってしまいそうです!
僕は、基本的には、例えパクリであっても、オリジナルよりもかっこいいのであれば、多少のことには目をつぶるつもりです。もしも新型「ジーノ」の全高が現行MINI程度に抑えられていて、先代「ジーノ」並みのかっこよさがあれば、半額で買えるMINIとしての存在価値ぐらいはあったかもしれません。
それなのに、禁を犯して専用ボディまで与えたっていうのに、小太りなMINIにしかなれなかったなんて悲しくなってきます。デザインだけが売りの車が、かっこ悪いんじゃあ、目も当てられません!
改めて言うまでもなく、パクリは良くないことです。こんなことばかりしていては、創造性や独自性を失っていくだけです。
だけど、どうせ叩かれるのを覚悟の上でパクるんなら、せめてオリジナルよりも、かっこよくしなくちゃ意味がないでしょう! 洒落では済まない領域にまで踏み込んだくせに、かっこ悪いという、情けない「ジーノ」、かっこいい度は、せいぜい25点ってところですね!
さて、そんな「ジーノ」ですが、先代が好調だったこともあってか、月3,500台という、パイクカーとしてはなかなか強気なメーカー目標を掲げています。
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