「NOTE(初代)」のデザイン採点と販売台数予想

written on 2005/3/15


今回のテーマは、遅ればせながら、日産「NOTE」です。マーチ、キューブという超個性的デザインのコンパクトカーを持つ日産が、今度は直球ど真ん中を狙って送り出した、誰にでも似合う新型コンパクトです。

という訳で、「NOTE」のデザインは実に無難。フィットをちょっと伸ばしたか、はたまたストリームをギュっと縮めたかのようなパッケージに、嫌味のない程度の日産らしさを散りばめ、いかにも「デザインが魅力」といった車に抵抗感がある人に最適な外観となっています。

その分、個性が薄いのは確かですが、内容的にもデザイン的にも、安心して万人に薦められる車です。良い悪いは別にして、日産の狙った通りのデザインだと言えるでしょう。




ってことで、「NOTE」のかっこいい度は65点

さほど興味をそそられるデザインではありませんが、平均点は確実に超える仕上がりだと思います。



さて、それで、何で今更「NOTE」を取り上げたのかと言うと、「NOTE」と同じようなデザイン処理をしていた車を、ふと思い出したから。

その車とはトヨタのヴォルツ。

2002年8月にアメリカから輸入販売を開始したものの、2年も経たない2004年5月には早くも販売終了となってしまった、「SUV」「ステーションワゴン」「ミニバン」のクロスオーバー車です。(どの辺りがミニバンなんだかは、よく分からないけど・・・。)

このヴォルツ、簡単に言っちゃうと、ショートワゴンタイプの5ドアハッチバックにクロカン風の味付けをした車。トヨタとGMがカローラのプラットフォームを使って共同開発した「トヨタ・マトリックス」「ポンティアック・ヴァイブ」の兄弟車のうち、ヴァイブの方を右ハンドル化して輸入していたもので、ボディ下部を覆うグレーのクラディングパネルや、そこに付いた意味のないギザギザなどで力強さを表現した、いかにもアメリカ人が好きそうなデザインの車です。

そのせいで、全体的な印象としては、少々子供っぽい、おもちゃみたいなデザインなのですが、ルーフレールの部分に、ちょっと面白いトリックを使っています。





ヴォルツを横から見ると、後ろ下がりの屋根にルーフレールを取り付けて、クーペのようなスポーティーさとSUVらしいワイルドさを両立しています。しかし、実はヴォルツのルーフは、見た目ほどには後ろ下がりになってはいません。

何故ならば、ルーフの中央から後端にかけて取り付けられた、ルーフレールの基部に見える黒い部分は、ルーフの上に乗っているのではなく、ルーフの左右端に取り付けられたものだから。極端に言うと、ルーフサイドパネルの上端を黒く塗っているだけのようなものです。

つまり、実際のルーフラインは、黒い帯状のルーフレール基部上端のラインなのであって、本当に屋根の上に飛び出しているのは、その上の台形状の部分だけなのです。この視覚的なトリックによって、後ろ下がりのスポーティーなデザインを強調しながら、見た目以上の室内高を確保しているという訳です。



そこで、「NOTE」を見てみると、ヴォルツ同様、ブーメラン型のリヤコンビランプで後ろ下がりなルーフラインを表現していることが分かります。

こちらも、実際のルーフはリヤランプ上端のライン。ルーフの一部をランプに見せることで、サイドビューの軽快感を演出しているのです。

まぁ、はっきり言えば、どちらも視覚的なトリックに過ぎないんだけれど、室内空間を犠牲にしないで見た目のスポーティーさを実現するには有効なアイデア。それでかっこよさがグンとUPする程のことはないけれど、この部分だけを見れば、「騙し絵」みたいで、面白いデザイン処理だと思います。





さてさて、そんな訳でマーチ、キューブ、ティーダに「NOTE」と、同じプラットフォームのコンパクトカーをこんなに揃えてどうするんだ、しかも、どれも日産全店扱いだぞ、なーんて心配をよそに、どれも販売は絶好調! どれか1台にセールスパワーが集中することも食い合うこともなく、今のところは、「日産に行けば、どの店でも好きなコンパクトカーが1台は見つかる」ってな感じで相乗効果を上げているようです。

確かに、ショールームにカラフルなボディカラーに塗られたこの4台が並んでいたら、ちょっと覗いてみたくなりますよね。

そんな気持ちを見越してか、日産の販売目標は月8,000台。癖のないデザインや価格の安さ、マーチやキューブよりも高い実用性なんかを考えると、妥当な数字でしょう。

もし、日産のコンパクトカーが「NOTE」1台であれば、比較的地味なデザインのせいもあって注目度が低かったかもしれませんが、マーチ、キューブを見に行って、「こっちの方が使いやすそう」と思ったり、ティーダを買うつもりが「こっちで充分」と感じたりするケースも多いに違いありません。

と、そんなこんなを考慮して、僕の予想は、月9,500台としておきます。

この記事をシェアする
  • B!

今週の人気記事

「ムラーノ(初代)」のデザイン採点と販売台数予想

「ウイングロード(3代目)」のデザイン採点と販売台数予想

「ザッツ(初代)」のデザイン採点と販売台数予想

「エディックス(初代)」のデザイン採点と販売台数予想

「プリウス(2代目)」のデザイン採点と販売台数予想

「ワゴンR(4代目)」&「スプラッシュ(初代)」のデザイン採点と販売台数予想

「ムーヴ(4代目)」のデザイン採点と販売台数予想