「ウイングロード(3代目)」のデザイン採点と販売台数予想

written on 2005/11/20


最初に宣言しておきますが、新型「ウイングロード」、はっきり言って、かっこ悪いです!

かっこいい度は30点です!





ずんぐりむっくりでシャープさのかけらもないフロント部分、奇妙にねじれて落ち着きのないグリルとヘッドライト、ティーダのお尻にカーゴスペースを無理やりくっつけたようなサイドビュー、今時珍しいぐらいに弱々しく引かれたキャラクターライン。こりゃあ、間違いなく中村体制以降、最もやぼったいデザインに決定です!

だから、販売予想は月4,000台

メーカー目標の3,500台よりは増やしておくけど、先代がフェイスリフト後の1年で月平均4,500台を売り上げた実績には届かないはず。その後、販売数は、4,000台、3,500台と年々下がり、ここ1年では月1,500台程度に落ち込んでいましたが、日産がモデルライフ後半となる1年前の実績を目標値にしたのも、デザインに不安があるからじゃないのかなぁと勘ぐってしまいます。



んな訳で、早々にかっこ悪いとの結論が出た「ウイングロード」ですが、そのデザインは、あながち的外れという訳でもありません。

「スタイリッシュ&ファンクション」をテーマとしたデザインの特徴は2つ。一つは、流星の残像をイメージしたという、フロントフェンダー部分に一番のボリュームを持たせたサイドのキャラクターライン。もう一つが、ウェーブド・ドリップラインと呼ばれる、キャビンの上部をアーチ状に、荷室の上部を直線的に仕上げたデザイン処理。

主に、この2点によって、機能的でありながらも、スポーティーでスタイリッシュなデザインを生み出したんだそうです。



だけど、スポーティーな車といえばウェッジシェイプのシルエットでリア側にボリューム感を持たせるのが一般的です。例え、FF車だろうと、先代の4つ目セリカや、北米三菱の新型エクリプスのように、まるでFR車のごとく、リアフェンダーを強調するのが普通なのです。それに、最近のワゴン車は、ピラーをブラックアウトし、スムーズに一体化したサイドウィンドウと、緩やかな後ろ下がりのルーフラインで、スタイリッシュに見せるのが常識です。





ところが、「ウイングロード」のサイドビューときたら、キャラクターラインもウィンドウ形状も、前方がぷっくら膨らんで、後ろ側が一段下がって真っ直ぐ伸びていくという、言うなれば「逆ウェッジシェイプ」状態じゃないですか。バックで走るのならともかく、これでは、スポーティーに見えるはずがありません!

その上、ピラーをブラックアウトし、ルーフラインもそこそこ優雅なのにも関わらず、わざわざウインドウグラフィックを途中で折り曲げているもんだから、サイドビューの連続感も台無しです。これじゃあ、ワゴンならではのスタイリッシュな伸びやかさを表現できるはずはありません! 「ウイングロード」は、「スポーティーでスタイリッシュなデザイン」と言いながら、そのルールに反することばかりやっているのです!



だけどです、キャビンと荷室を視覚的に分けるウェーブド・ドリップラインは、機能を形で表現するという点では納得できるし、逆ウェッジシェイプも、FFということを考えると、機能を表す正しい形だとも言えます。

それどころか、よく考えれば、FFのくせにリアフェンダーを強調している車より、正直にフロントフェンダーを膨らませた方が、よっぽど健全かもしれません。何故って、FR車が強靭な後ろ足で地面を蹴るカンガルーだとすれば、逞しい前足で地面を掘り進むモグラこそがFF車だからです!

モグラだと思えば、「ウイングロード」のデザインも納得でしょう。強力な前足と肩があれば、体なんて引きずられて付いてくるだけで充分なのです。

前方が膨らみ、後方がすっと伸びた体でモグラのような力強さを表し、おまけに、キャビンと荷室も明確に分ける。これこそ、「形は機能が作る」という、実に合理的で正しいデザインです!

そうなのです、「ウイングロード」は、FF車なら、FRコンプレックスのようなウェッジシェイプなど捨てて、本来の姿を表す、逆ウェッジシェイプのモグラ型にするべきだという強烈なメッセージを放っていたのです!





と、FF車ならではの力強さを目指した「ウイングロード」ですが、残念なのは、立派な思想の結果出来上がったデザインが、如何せん、かっこ悪いことですよねぇ。どんなに考え方が正しくったって、かっこ良くなけりゃ意味ないですって!

ただし、機能の裏付けのあるデザインであれば、いずれ違和感は消えていきます。フロント側に重心を持つ矢のようなデザインが熟成されてくれば、FF車の表現方法として定着する可能性も無いとは言えません。

今はやぼったくてモグラに見えてしまう「ウイングロード」ですが、今後、デザインが洗練されて美しさにまで昇華したその時こそ、矢のように尾を引きながら宇宙を駆ける、本当の流星になるのでしょうね。

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