「ティーダ(初代)」のデザイン採点と販売台数予想

written on 2004/11/16


ムラーノ編で、最近の日産デザインには「ハズレがない」と書いたばかりだけど、この「ティーダ」、間違いなく中村体制になって以来、最も「ハズレ」のデザインです。

実は、コンセプトカーだったC-NOTEの頃から、おやっ?とは思っていたのですが、上質なコンパクトカーというコンセプトには興味があったし、「デザインの日産」というイメージが出来上がっていたせいもあって、慣れればかっこよく見えてくるに違いないと信じていたのです。

だけど、何度、かっこいいんだと自分に暗示をかけつつ見てみても、やっぱりダメ! 結局、僕としては、「かっこよくない」という結論に至ってしまいました。





で、何が悪いのかと考えてみると、どうも、デザインの方向性が曖昧なせいなんじゃないかと思うのです。

最近の日産デザインって、その完成度の高さもさることながら、一目でどんな車なのかが理解できる分かりやすさっていうのも大きなポイント。Zはどう見たってスポーツカーだし、マーチはかわいいコンパクトカー、迫力で迫るエルグランドに、かっこよさが命のムラーノと、どれも見た目だけで車の性格が読み取れる明快なデザインだといえます。

それなのに、この「ティーダ」ときたら、上質を狙っているんだか、スポーティーにしたいんだか、それとも広さをアピールしたいんだかが理解不能。全体的なフォルムはスペース重視のハッチバックだけど、リアランプを見るとスポーティー、かと思うとメッキを効かせたフロントグリルで高級感を演出、といった具合に、デザインの方向性が全然まとまっていないのです。

もちろん、その3つを上手く融合させることが不可能だとは言わないし、それが出来れば素晴らしいとは思うけれど、「ティーダ」のデザインはとてもそこまで辿り着いていません。何もこんなに欲張らず、もう少しテーマを絞った方が良かったんじゃないのかなぁと思うのです。



それじゃあ、一体どれを削るべきなのか?

それは、多分「広さ」です!

最近は欧州のCセグメントでも、広さ・上質・スポーティーの3つを目標にしているようで、特にゴルフやプジョー307には「ティーダ」と同じ雰囲気を感じます。どれも、見るからに広そうで、上質感も狙っていて、それでいてスポーティーな味付けも忘れていません。

だけどです、僕は「ティーダ」と同様に、ゴルフも307もあんまり好きじゃないのです!






何故ならば、でかくてぼってりしているから!

「広さとスポーティー」、「広さと上質感」というのは両立が難しいのです。広さとスポーティーとの両立が困難だっていうのは何となく理解できるでしょうけど、「広さと上質感」というのも、相反するものなのです!

大体、「小さいのに広い」っていう発想自体が、「上質」という言葉とは遠い存在ですよね。過度でない適度な広さ、体にフィットする心地よさの方が、はるかにスマートで、知的で、上質な感じがしませんか? デザインにしたって、広さを表現するために間延びしたものより、ぎゅっと凝縮した密度感のあるものの方が、ずっと上質に感じると思うのです。

その点、アストラやメガーヌ、BMWの1シリーズあたりは、上質とスポーティーを両立しながら、広々感よりもデザインの密度感を優先することで、なかなか魅力的なスタイルに仕上がっています。

そうなのです、「ティーダ」のみならず、デザインの評価が高い欧州車だって、「上質」と「スポーティー」に、上手く「広さ」を融合させる方法を見付けてはいないのです。車幅に制限があり、サイドボディの表情に乏しくぼってりとした「ティーダ」が、上質感とスポーティーさに欠け、かっこよく見えないのも仕方がないことだったのです!



・・・などと書いておきながら何なんですが、実は本当に余計なのは「上質」なんでしょうね。

これは、僕の勝手な想像なんだけど、元々「ティーダ」のコンセプトに「上質」なんてものはなかったんじゃないかという気がするのです。だけど、ティアナのモダンリビングインテリアの好評さを受け、急遽「ティーダ」にも反映させることが決定。グリルの上下にメッキパーツを付けることでインテリアとのイメージを合わせたものの、その代償として、エクステリアの統一感がなくなっちゃった、なんてこと、あり得る話だと思うのです。




まぁ、それでも「上質」を前面に押し出すことになっちゃった以上、広々感は諦めるべき。もう少し全高を低く出来たら、ずいぶん印象が違っていたかもしれませんね。(・・・そんなことになったらプラットフォームから練り直しだってば。)



そんな訳で、「ティーダ」のかっこいい度は、50点

かっこ悪いとは思わないけれど、決してかっこよくもありません。なので、メーカー目標の月5,000台が楽勝という訳にはいかないでしょうが、品薄だったこのクラスを求めている日産ファンは多いはず。

ってことで、僕の予想は5,500台としておきます!

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