「GS(3代目)」&「IS(3代目)」のデザイン採点と販売台数予想
written on 2005/10/28 (2005/11/1 イラスト追加)
レクサスのデザインフィロソフィ「L-フィネス」とは、「先鋭-精妙の美」のこと。Leading-Edge(先鋭)とFinesse(精妙)からの造語で、「技術の進化の表出としての新しさ」と「日本人の感受性を生かした精妙さ」を備えたデザインを意味しています。
具体的には、シンプルな表現の「純」、深みを持った優雅さの「妙」、見れば見るほど新しい発見があるという予見の「予」の3つのキーワードを、プロポーション、アーキテクチャー、サーフェイスに絡めながらデザインしていくのだそうです。(最初は「予」の代わりに、「和(もてなしの心に通じる先取りの気概)」を加えた3本柱だったけど、いつの間にか変わったようです。)
簡単に言えば、シンプルでありながらも、よく見ると味わい深い陰影があって見飽きないようなデザインといったところですかね?
さて、そんなレクサスの華々しいデビューから2ヶ月、今現在、売ってる車は3つだけ。いわゆるソアラの「SC」と、アリスト後継の「GS」、それと、アルテッサ後継となる「IS」です。新規開発した「GS」と「IS」よりも、「SC」が一番レクサスらしいような気はするけれど、4年以上前にデビューした車は今更なんで、今回は「GS」と「IS」の2台を取り上げてみます。
で、いきなり結論から言っちゃうと、「GS」のかっこいい度は75点、「IS」のかっこいい度は65点です!
多分、どちらがデザイン的にレベルが高いのかと言えば「IS」の方でしょう。一見、のっぺりして見えるけれど、微妙な抑揚があちらこちらにあって、きっと実車を見ると予想以上に存在感があるんだろうとな思います。全体的にはシンプルでありながら、抑揚による優雅さがあって、見る角度によって色々な表情を見せる・・・まさに「L-フィネス」の思想です。見慣れるにつれて、段々好きになっていくタイプの車かもしれません。
だけど、何だか楽しくないデザインなんですよね。シンプルだけど深みがあって、しかもスポーティーでなきゃいけないっていうのを、言葉通りに形にしただけのように見えるのです。
例えるなら、粘土で作ったマーク2を渡されて、これを「L-フィネス」っぽく微調整してくれ、なーんて言われて、こねこねと形を整えて、「はいっ、出来ました」って感じでしょうか。「IS」は、「L-フィネス」を表現することだけが目的のようで、「IS」とはこういう車なんだっていう主張が感じられないのです。
一方、「GS」は、初代から続く、ロングルーフ・ビッグキャビン・ショート&ハイデッキのスタイルを踏襲し、どこから見ても新型アリストだと分かるデザインになっています。それこそ、シルエットだけでもアリストだって分かるかもしれません。
ジウジアーロのデザインが基になった初代から続く独特のプロポーションを大切にし、それを「GS」らしさとして守りつつ、新しさを表現するという、典型的なキープコンセプトの手法でデザインされた訳です。次期型ぐらいまでなら、このプロポーションをベースに「L-フィネス」的な面作りを加えるだけでもやっていけるかもしれません。
まぁ、その反面、目新しさに欠けるのは事実ですが、ハリアーやエスティマなんかがスポーティーさを求めて子供っぽいデザインに落ちていく中、大人らしさを残した好印象のキープコンセプト型モデルチェンジだと思います。
それに対して、「IS」には、お手本にするべき先代がありませんでした。こうすれば「IS」らしくなるという文法がなかったのです。しかも、「IS」らしさとは何なのかを練り上げるよりも、「L-フィネス」らしさを表現することを重視されてしまいました。
結局、「IS」は、マーク2やアルテッサをベースに、ちょっと味付けを変えただけのようなデザインになってしまったのです。
僕は「GS」「SC」の2台と、「IS」の最大の違いは、この「らしさ」の有無なのだと思います。初代から引き継ぐプロポーションのある「GS」と、過去のしがらみを切り独創的なデザインを得た「SC」に対して、「L-フィネス」という抽象的なキーワード以外に頼れるところのなかった「IS」。現状の3車がそれぞれ全く異なったデザインを持っていることで分かるように、「L-フィネス」の思想には、グリルなどといった具体的な「らしさ」は規定されていません。
とすれば、それぞれが独自の「らしい」デザインを持った上で、「L-フィネス」テイストで柔らかに関連性を持つ必要があるのです! レクサスらしさだけでは弱いんです! 「IS」も他の2台のように、外国人デザイナーでも使って、レクサスらしさの前に、まずは「ISらしさ」を作り出さなくちゃいかんのではないでしょうかね。
んで、販売予想は「GS」が月1,500台、「IS」が月2,000台。
1,100台と1,800台というメーカー目標よりは高くしておきます。
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