「GS(3代目)」の販売台数予想結果
written on 2006/11/7
「レクサス」のブランドスタートから1年が経ち、新聞等で目にするのは、「不振」「失敗」「惨敗」といった否定的な文字ばかり。2005年中の販売台数が1万台ちょっとで、2万台という計画の半分だけだったとか、LSの発売後1ヶ月の受注台数が先代セルシオの半分だけだとか、とにかく、世間一般的には「半分しか売れていないレクサス」というイメージが定着しつつあるようです。
という訳で、本当に半分しか売れていないのか、早速「GS」の予想結果を見てみましょう!
「GS」の発売は2005年8月。
メーカー月販目標の1,100台に対して、僕の予想は月1,500台。
発売の翌月、2005年9月から2006年8月の平均新車登録台数は・・・
月1,039台でした!
あれっ、なーんだ、ほぼ目標台数を達成しているじゃないですか。そういや、SC(ソアラ)だって、月132台と、目標の100台をオーバーしています。つまり、目標を大きく下回っているのは、ISだけってこと。
もちろん、3台しかないうちの最量販車である1台が目標の半分というのは問題ではあるんだけれど、「ISが売れていない」のではなく、「レクサスが売れていない」といったニュアンスで報道されるのは、ちょっと違うんじゃないのかなぁと思ってしまいます。
トヨタにしてみれば、アルテッツァとユーザー層が合わなそうなISについては大きく外してしまったけれど、アリストからの乗り換えが想定された「GS」の販売数は、予想の範囲内だったのではないでしょうか。
まぁ、販売不振なんて書けば面白いだろうから、こうした記事が目に付くのは仕方がないんだけど、よく考えりゃ、ブランドスタートから1年ごときで、販売数がどうのこうの言っても、あまり意味はないんですよね。ファッションにしろ何にしろ、「今日から新しい高級ブランドをスタートしました!」って言われて、「わーっ!」って買いに行くようなもんじゃないでしょう。
どちらかと言えば、知ってる人だけが知っているような状態から、じわじわと認知度を上げていくのが、本当の一流ブランドだと思うのです。
そう考えると、今回の「レクサス」立ち上げについては、トヨタが大々的にアピールしちゃったもんだから、良くも悪くも多くの人の注目を集めることになってしまったけれど、出来ることなら、ひっそりと東京の1店舗だけでの販売ぐらいから始めた方が良かったんじゃないかなぁと思います。
僕自身、上で『トヨタにしてみれば』って書いてしまっているように、あれだけ大量に報道されてしまうと、「レクサス」=「トヨタ」の図式が染み込んじゃいますからね。「レクサス」って結局はトヨタ車なんだってことが知れ渡っちゃっていると、どうしても独立したブランドイメージの確率が難しくなってしまいます。
・・・ レクサス車に相応しいと認められたセルシオのユーザーだけに、日本で1店舗しかない「レクサス」のDMを送り、興味を持ってくれた方には、徹底したおもてなしを施す。こうした噂を聞きつけた遠方のお客さんの要望で、都市圏を中心に、少しずつ店舗数を増やしていく ・・・。
なーんていう方が、ブランドストーリーとして面白かったんじゃないでしょうかね。
ま、何にしても、本気で高級ブランドを目指すのならば、数年間は販売数だの利益だのよりも、いかにして「神話」を作り上げていくかの方が重要です。トヨタも、あっ、いやいや「レクサス」も、現在の販売数をあまり問題視していないようですし、これから10年単位で、どうブランド力を高めていけるのか、興味を持って見ていきたいと思います。
あっ、そうそう、この過熱報道のお陰で、1,500台くらいは売れちゃうんじゃないかと思った僕の予想は大ハズレ。
皆さん、意外と冷静に見ているようですね。
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