「エレメント(初代)」のデザイン採点と販売台数予想

written on 2003/6/3


今回のお題は、塗装処理をしたツインとは違い、正真正銘の無塗装バンパーを採用したホンダ「エレメント」。樹脂バンパー推進派の僕としては、要注目の1台です。

ホンダって、割と積極的に樹脂バンパーを使用していますが、ここまで大胆なのは、さすがに初めて。こうした樹脂素材の使い方自体は、ボルボのクロスカントリーや、ルノーのセニックRX4なんかでの前例があるんで、決して斬新って訳ではないんだけれど、これらはベースとなったワゴンやミニバンとの差別化の意味もあっての採用。

対して、ベース車がなくゼロからのデザインとなる「エレメント」は、こんなに大げさな樹脂バンパーを使わずとも、アウトドアテイストのデザインが可能だったはず。それを敢えて、後付け感のある樹脂パーツでワイルドさを表現するというのは、なかなか面白い試みだと思います。

それに、樹脂素材とのツートンを前提にデザインされているだけあって、中途半端なツートンカラーのザッツとは大違い。デザインとツートンカラーのマッチングもバッチリです。このくらい思い切り良くやってくれると、ツートンカラーも生きてきますね。





ところで、「エレメント」のドアもRX-8と同様の観音開きですが、RX-8がパッケージングの制約上から通常の4枚ドアを使用できないのと比べると、必然性があっての採用とは思えません。横から見れば分かるように、リアドアは、もっと後ろまで延ばせるはずです。

それどころか、あまり開口部を大きくできない観音開きドアのせいで、後席の視界を太いピラーが邪魔するようになってしまいました。

これなら、通常の4枚ドアの方が、後席の視界が断然いいだろうし、充分なドア長が取れるのであれば乗り降りにも問題はないはずです。後席横まできちんと窓のある新型ラウムや、他に方法のないRX-8に比べて、観音開きによるメリットよりも、デメリットの方が大きいんじゃないかと思うのです。



それじゃぁ、「エレメント」が何のために観音開きドアを採用したのかって言えば、それは単純にデザインのため。開放感とか、乗降のしやすさなんてのもあるんでしょうが、一番の理由は「かっこよさ」のためなのです。

「エレメント」は、道具感をアピールするためにピックアップトラックのテイストを取り入れていますが、そのためには荷室の長さを強調しなくてはなりません。決められた全長の中で荷室を長く見せるためには、ドアの前後長を削るしかないでしょう。すると、短いスペースに前後2枚のドアを設置せざるを得ず、乗降性を確保するためには観音開きドアにするしかないのです。

つまり、ピックアップトラック風かっこよさを表現するための観音開きドアなんじゃないかなと思うのです。

そんな訳で、「エレメント」の特徴である大胆な樹脂パ-ツも観音開きドアも必然性は薄いのです。結局、ピックアップトラックのテイストを取り入れ、ツートンのワイルドなイメージを楽しむというデザインありきの車なんですね。




で、そんな「エレメント」ですが、僕は、結構お気に入りなのです。

以前に、ホンダ車の魅力は都会的なデザインって書いたけど、ホンダのもう一つの武器が「あっけらかんとしたノリの良さ」。楽しそうなアイデアを思い付いたら、深いことなんか考えずに、勢いで車を作っちゃう思い切りの良さです。

一般的に考えたら、後からペタペタ貼り付けたような樹脂パーツなんてわざわざ使わないだろうし、デメリットの多い観音開きドアも採用しないでしょう。

でも、ホンダって「かっこよけりゃいいじゃん」「面白ければいいじゃん」って感じで、それをやっちゃうんですよね。平べったいかっこよさを追求するために、プレリュードのボンネットをフェラーリよりも低くしたり、軽でオープンでミッドシップなんて、やりたい放題のビートを作ったりしちゃうのです。

ホンダには、他のメーカーからは決して出てこないであろう「面白そう」な車がたくさんあります。もちろん「面白そう」なだけで、ちっとも売れなかったのも多いんだけど、こうした、ある意味バカバカしい車って必要だと思うんですよね。

スポーツミニバンを目指したストリームや、RVのくせに平らなフロアを実現したCR-V、究極の室内容積のために見事な四角形になったステップワゴンなんかも、考えようによってはバカな車です。

でも、そんなバカバカしさを本気で追求している時のホンダって、実に強いんですよね。「エレメント」も、そんなホンダのノリの良さを感じさせる、イキのいい1台なんじゃないかなと思います。




ってことで、「エレメント」のかっこいい度は80点

ま、この車、かっこ悪かったら何の価値もないですからね・・・。



で、販売台数予想は、メーカー目標の1,000台に対して月500台! ノリで買う車に250万円は高すぎます! SM-Xのサイズで、もう100万円ほど安かったら売れると思うんですが・・・。

この記事をシェアする
  • B!

今週の人気記事

「ウイングロード(3代目)」のデザイン採点と販売台数予想

「ウィッシュ(初代)」のデザイン採点と販売台数予想

「オデッセイ(4代目)」のデザイン採点と販売台数予想

「アクセラ(初代)」のデザイン採点と販売台数予想

「ワゴンR(4代目)」&「スプラッシュ(初代)」のデザイン採点と販売台数予想

「ムラーノ(初代)」のデザイン採点と販売台数予想