「WiLLサイファ(初代)」のデザイン採点と販売台数予想
written on 2002/11/3
トヨタの「WiLL」ブランド第3弾、「サイファ」が登場しました。
「ディスプレイ一体型ヘルメット」をモチーフにしたデザインは、市販車とは思えないほどの大胆さ。あまりの奇抜さに消費者の目を慣らすためか、徐々に人目に触れさせていたようで、僕も発売の1ヶ月以上前に隠しもせずカーキャリーで運ばれているのを見ましたし、10日ほど前には近所のディーラーに堂々と停められていました。
しかしまぁ、2回ともチラッと見ただけでしたが、インパクトは抜群! 鮮やかな原色系カラーのせいもあって、ぼーっと歩いていても、確実に目に止まります。誰もが、「あれは何だ?」と思うほど、街の風景になじまない、強烈な違和感を放っていました。
とはいえ、ここまで自動車離れしていると、いくらなんでもやり過ぎ。正直、「こんな車に誰が乗るんだ」、「絶対に売れないぞ」と思っておりました。
でも、これこそ、まさにトヨタの思う壺!
とはいえ、ここまで自動車離れしていると、いくらなんでもやり過ぎ。正直、「こんな車に誰が乗るんだ」、「絶対に売れないぞ」と思っておりました。
でも、これこそ、まさにトヨタの思う壺!
いつもはトヨタデザインを酷評している僕ですが、「サイファ」のかっこ悪さは、あえて狙った確信犯だと思うのです。
ところで、車と情報サービスとの融合が注目を集めていますが、日産の「カーウイングス」、ホンダの「インターナビ・プレミアムクラブ」に対するトヨタ版が「G-BOOK」(多分)。「サイファ」は、この新機能搭載車、第1号です。
しかし、「多分」と書いたように、カーナビも持っていない僕には、「G-BOOK」が何なのか、はっきり言って、よく分かりません。とにかく便利で、これからの車には必須の機能のようだけど、おそらく大半の人はよく分かってはいないでしょう。少なくとも、僕より上の世代は、『情報ネットワークサービス「G-BOOK」』って名前を聞いただけで、「自分には関係ないや」と、敬遠するに違いありません。
だから、例えばカローラやマーク2に「G-BOOK」を付けましたと言ったって、それほど普及しないと思うのです。カローラやマーク2を買う世代には、「G-BOOK」なんて必要ないし、逆に「G-BOOK」に興味を持つ世代はカローラやマーク2なんて買わないでしょう。
もちろん、bBやセリカといった車に付ける方法もありますが、それでは本当に若者にしか認知してもらえません。
そこで、トヨタは、「G-BOOK」の普及そのものよりも、まずは「G-BOOK」の知名度を上げる作戦に出たのだと思います。売れなくてもいいから、とにかく目立つ車を作る。目立てば、「あれは何だ?」と思ってもらえる。
あれは、「サイファ」っていう「G-BOOK」を搭載した車なんだよ。
そうか。で、「G-BOOK」って何なんだ?、ってなるのです。
あれは、「サイファ」っていう「G-BOOK」を搭載した車なんだよ。
そうか。で、「G-BOOK」って何なんだ?、ってなるのです。
そう、「サイファ」は車としてどうのという存在じゃなくって、「G-BOOK」の走る広告塔なのです。「カローラにも、あの変わった車と同じ「G-BOOK」が付けられますよ。」「面白そうだな、付けてみるか。」となれば大成功なのです。
広告塔ですから、目立ってなんぼ。そう考えると、非常識な「サイファ」のデザインは、まさに適役! 新機能を搭載してるんだよってイメージ満点です。
基本的に、かっこ悪いのですが、いつものトヨタのように中途半端にかっこよく見せようとしていないのも好印象。
そんな思い切りの良さを評価して、かっこいい度は60点!
・・・と思ったのですが、「サイファ」って、見る角度によってはベース車のヴィッツにそっくり。フロントとサイドのガラスなんて同じ部品に見えるし、ルーフ形状もほぼ一緒。まぁ、台数を期待する車じゃないから、コストをかけられないのでしょうが、もう少し独自性を与えて欲しかったなぁと思います。
ってことで、10点減点で、計50点!です。
それにしても、広告塔のために1車種作っちゃうなんて、さすがは絶好調のトヨタ。「WiLL」っていう、特殊ブランドがあるのも有利でしたね。
余談ですが、スマートや新型ミニ、サターンなど、大メーカーが新ブランドを立ち上げるのは珍しいことではありません。
ただし、どれも専用車を新規開発し、独自の販売店も作っています。それを思うと、既存車を衣替えして他のトヨタ車と一緒に売ってる「WiLL」は、ちょっと気合不足。いっそのこと、「WiLL」として新世代コンパクトカー専用ディーラーを作り、ヴィッツ兄弟全てを、そこで発売する手もあったんじゃないかなと思います。(プラッツだけは除こうかな。)
さて、そんな「サイファ」の販売目標は月1,500台。控えめな数字ですが、「G-BOOK」やリース型販売の、本格的な導入へのテストを兼ねていそうなことも考えると、あんまり売れても困るのかもしれませんね。
販売台数の予想は難しいけど、半分ほどの月700台としておきましょう。
(追伸)車も将来的には、本体を安く売って接続料や情報料のソフト収入で稼ぐっていう、ゲーム機や携帯電話みたいな商品になってしまうんでしょうかね?
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