「パジェロ(4代目)」のデザイン採点と販売台数予想

written on 2006/11/13


一連の不祥事で、すっかり地に落ちた感のあった、スリーダイヤマーク。一から出直す姿勢を表すためにも、天地逆にしろだの、「一菱」や「四菱」にしろだのと言ってきた僕から見ると、三菱が早くも完全復活をしたかのように堂々と輝く「パジェロ」のグリルには、ちょっと違和感を覚えてしまいます。



だけれども、そうした感情を抜きすれば、さすがは、ブーレイ氏が「世界で一番美しいマーク」と賞賛していたスリーダイヤ。純粋にデザインだけを評価するならば、新型「パジェロ」のグリルは、満点の出来と言ってもいいんじゃないかと思います。



さて、そんな「パジェロ」の立派なグリル。一見、ブーレイ顔とは完全決別したデザインのように思えますが、僕は、これもブーレイ顔の発展系なんじゃないかと思っています。

僕の勝手な想像では、ブーレイ顔っていうのは、グリル全体のデザインを決めたものではなく、台形の台座を背景にしたスリーダイヤの配置こそが、何よりも重要なポイント。そして、この台座、ブーレイ氏が日本の象徴としてモチーフにしたと考えるには、あまりにベタなんだけど、多分、フジヤマを表現しているんじゃないかと思うのです。

日本人が潜在的に美しいと感じる富士山をバックに輝くスリーダイヤ。まさに、『これぞニッポン!』って感じで、神々しささえ感じちゃうじゃないですか!



ところが、そんなブーレイ顔も、採用第一弾となったコルトが、いかにも「開発最終段階で無理やり付けました」といった不恰好なデザインだったもんだから、批判が続出。続くランサーも、マイナーチェンジでの強引なブーレイ化で、傷口を拡大。この2台の悪印象のお陰で、ブーレイ顔をきちんと消化してデザインされたグランディスの力だけでは、イメージ回復を果たすことは出来ませんでした。

そして、さらに不幸なことに、不祥事による販売不振まで、ブーレイ顔の責任として押し付けられたもんだから、こりゃ大変。ブーレイ顔は失敗作として抹消され、ショックを受けたブーレイさんは三菱を去ってしまったのでした。(いえいえ、ダイムラー・クライスラーとの提携解消のため、ですね。)




しかしです、そんなブーレイ顔も、海外では未だ健在! 西欧では、コルトもランサーもグランディスも、みーんなブーレイ顔を続けているし、エクリプスやトライトンは、ブーレイ顔があってこそのグッドデザインです。

中でも興味深いのは、台湾の中華汽車が三菱車として製造・販売している、ギャラン・グランダー。基本的には北米ギャランがベースなんだけど、グリル部分は中華汽車によって、ブーレイ顔を強調したものに変更されているのです。

何でも、ブーレイ顔はスリーダイヤの収まりが良く、存在感もあるとのことで、台湾人の好みも加味して、よりアグレッシブに修正したのだそう。しかも、「なぜ三菱は、一度決めたブランドデザインを簡単に捨てられるのか」とまで言ってくれちゃっています。

ってことは、どうやらブーレイ顔が徹底的に叩かれているのは日本国内だけ。海外では、三菱車の顔として、しっかりと根付きつつあるのです。



となれば、海外が中心市場となる「パジェロ」には、当然、ブーレイ顔のエッセンスを取り入れなければなりません。

そこで編み出されたのが、メッキで輪郭を強調した富士山にスリーダイヤを組み合わせた「パジェロ」のグリルなのです! 日本人にはブーレイ顔ではないように思わせながら、実は「富士山型台座」という一番重要なポイントをしっかりと押さえた、ブーレイ顔の発展系なのです!




・・・とまぁ、そんな妄想は別にしても、「パジェロ」のグリル、RVらしい力強さのある、いいデザインですよね。先代eKアクティブを見れば分かるように、箱型デザインの車にボディ同色のフジヤマ台座を合わせるのは、ちょっと無理があるけれど、「パジェロ」のグリルなら、直線基調のデザインにも無理なく馴染みます。

そうです、「パジェロ」の登場によって、曲線主体の車には従来のボディ同色富士、直線主体の車には輪郭強調富士と、ブーレイ顔は、ボディシルエットに合わせたバリエーションを得たのです。最近の復調振りを見ていると、どうやら、スリーダイヤブランドが消滅することもなさそうです。

であるならば、せっかく完成しつつあるブーレイ顔が、再び不祥事の象徴となってしまうことが決してないよう、どこよりも安全を重視した車作りを目指して努力して欲しいですね!



さてさて、グリルの話だけで終わっちゃいましたが、肝心な「パジェロ」のかっこいい度は、70点

先代との部品流用の制約もあって、デザイナーとしては我慢している部分もあるのでしょうが、既存の「パジェロ」ユーザーが安心して買い換えられる、「らしい姿」に仕上がっていると思います。

という訳で、「パジェロ」ファンの潜在需要を考慮してはじき出したはずの販売目標と同じく、僕の予想も月700台としておきます!

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